今年、1本目の文楽舞台を見ました。
国立劇場文楽二月公演第三部「国性爺合戦」。
日中を舞台にした、鄭成功のお話です。



1715(正徳5)年11月、大坂竹本座初演。
作者は近松門左衛門。
「千里が竹虎狩りの段」では、人間が虎のぬいぐるみを着て
人形と一緒に立ち回りをやる。ちょっとびっくりしたな。
これは当時、大流行したネタだそう。

「紅流しより獅子が城の段」は鄭成功と五常軍甘輝が
威勢良く、明再興のために同盟を結ぶといった話なのだけど
やはり義理人情でなんぼ、という近松門左衛門だから
両者を結びつけるため、甘輝の妻になっていた日本人の錦祥女が
自害し、それを守れなかった義理の母も後追い自殺するという展開。
この段は私の好きな豊竹咲甫太夫が担当したのだけど
うーん、まだちょっと表現が平板だったような。
まあ、若くて威勢が良いから、
戦に出陣というようなシーンではよかったけど。

文楽って、結構、自殺やら殺人やらが起こるのだよなぁ。
で、死んだ人形は舞台に置き去りにされて、
それがまさに死んだ風体で、ちょっと凄いなといつも思う。