ファッション誌に書く原稿はどこかで勢いが必要に思って
文章を書く前とか、書いている最中とかに
開高健の本を読むのです。全然、女性誌とは関係なさそうだけど。
なんとなく。なんだかこの世をしぶとく抱きしめているような感じがいいのだと。

今も『花終る闇』をだいぶ読み進み、
彼が終戦直後の大阪を回想するシーン。
地下鉄の構内の暗がりではボロを着たたくましい男が
水たまりに顔をつっこんで死んでいた。
とか。
若い復員兵が満員電車からふり落とされて死んで、脳と肉の破片が散らばり
とか。
ちょっと彼の匂いがきつすぎた。

これでおしゃれ話に戻ろうとしたけど、なんだか階段ふみはずして。
その先には、先週見た気仙沼の荒廃が浮かぶ。